
WordPress は全世界の Web サイトのうち 40 %以上で使われており、このままいけばあと数年で過半数を超えるかもしれません。
そんな WordPress にも弱点がいくつかあり、表示速度低下が最も頭を悩ませるところではないかと思います。
PageSpeed Insights スコア 100 を目指すとなるとそれなりの専門知識が必要となり、だれでも簡単にワンクリックで高速化、というわけにはいきません。
しかし、WordPress 初心者でも「できるだけ表示速度をアップする」ことは可能です。対策方法をまとめましたので、できそうなところから改善してみてください。
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WordPressの表示速度を上げる10の方法
#1 画像は必要最低限の大きさにする
表示速度に最も大きく影響するのは、画像のサイズ・容量です。
大きめのサイズのフリー素材や、スマホで撮影した画像をそのままアップロードしていないでしょうか。たまに「横 4000px・縦 3000px」などの巨大な画像を使っているブログを見かけます。記事で使うのにそこまで大きな画像は必要ありません。
テーマ(デザイン)によって最適なサイズは変わりますが、たとえば記事本文の表示幅が 800px であれば「横 800px」の画像を用意すれば十分です。

それより大きな画像をアップしたとき、見た目は 800px まで縮小して表示されますが、容量は変わりません。要は、大きくて重たい画像を小さく見せているだけになっています。
以下の 2 枚の画像を比べてみてください。


どちらも見た目は変わらないのに、横 2000px の画像は 5 倍の容量となっています。画像の枚数とページ全体の容量は比例しますから、不必要に大きな画像をたくさん使えばそれだけ表示速度低下につながるということです。
スマホであれば画面の幅は 400px 程度なので、なおさら大きな画像は必要ありません。
アイキャッチにかぎっては、Google Discover に掲載されたときのことを考えて最低でも「横 1200px」にしておくのがよいと思います。
魅力的な高画質の画像、特に Discover からのアクセスが発生する可能性の高いサイズの大きい画像をコンテンツに含める。サイズの大きい画像は、幅を 1,200 ピクセル以上とし、max-image-preview:large の設定または AMP を使用して有効にする必要があります。
Discover にコンテンツを掲載する | Google 検索セントラル | Google Developers
#2 画像は圧縮軽量化してからアップロードする
画像を適正なサイズにしたあと、圧縮軽量化してからアップロードするとさらに表示が速くなります。
やりすぎると画像が劣化してボヤけてしまいますが、見た目をほぼ変えずに軽量化することは可能です。専用ツールがいくつかありますので、実際に試してみてください。
当サイトでは、おもに Squoosh を使っています。
先ほどのポメラニアンの画像も圧縮軽量化済みで、圧縮しない場合は以下のとおりサイズが同じでも容量が全然違います。


見た目が変わらず、約 1/10 になっていますね。
WordPress には圧縮軽量化プラグインがいくつかあり、手作業が面倒ならそちらに任せてしまうのもよいでしょう。どのプラグインもアップロードするだけで自動的に調整してくれますし、アップロード済み画像を一括最適化する機能も備わっています。
ただ、専用ツールのほうが性能は上なので、個人的にはツール+プラグインの二段構えをおすすめします。
#3 画像を WebP 形式にする
代表的な画像軽量化プラグインの一つは「EWWW Image Optimizer」です。
このプラグインはただ画像を圧縮軽量化するだけではなく、JPEG や PNG 形式の画像を WebP(ウェッピー)形式に変換してくれる機能があり、こちらをぜひおすすめしたいです。

WebP は Google が開発した新しい画像フォーマットで、従来の JPEG や PNG の「いいとこどり」をしたものと覚えておけばよいでしょう。
WordPress 5.8 より WebP のアップロードに対応しているため、これからアップロードする画像は Squoosh で圧縮すると同時に WebP に変換しておくのもよいと思います。

しかし、IE などの WebP 未対応ブラウザには従来の形式で配信しなければ画像が表示されません。すべての画像を完全に WebP にするのはまだ早いと思います。
EWWW Image Optimizer は対応ブラウザ / 未対応ブラウザで自動的に振り分け処理してくれるため、しばらくはプラグインに頼ったほうがよいでしょう。
#4 不要なプラグインを削除する
画像のほかに表示速度に大きく影響するのは、JavaScript の読み込みです。
読み込む位置を強制的に変更したり、各ファイルを結合するようなプラグインもありますが、テーマや他のプラグインの動作が不安定になるかもしれません。
そうした技術的な対応を考える前に、不要なプラグインを削除するほうがよいです。
「おすすめプラグイン◯選」のような記事を参考にインストールしたはいいものの、何のために入れたかわかっていないし、本当に必要かどうかもわからない、というプラグインはありませんか?
もしかするとテーマの機能と重複するものかもしれませんし、更新が停止していてセキュリティ面でも危ないものがあるかもしれません。
インストール済みのプラグインを一つずつチェックして、よくわからないものは外してしまったほうがスッキリすると思います。プラグインを必要最低限にしておけば、不要な JavaScript を読み込むこともないですからね。
#5 不要なウィジェット・ブログパーツを削除する
サイドバーやフッターに不要なリンク・パーツはないでしょうか。
あれもこれも読んでほしいからとリンクをたくさん並べても、実は全然クリックされておらず、サイドバーはスマホユーザーにまったく見られていない可能性もあります。
サムネイル付きの記事一覧を表示すればそれだけ画像を読み込むのに時間がかかりますし、ブログランキングパーツやアフィリエイトのバナーなども表示速度に大きく関わってくる要素です。
できるだけシンプルな配置にして、PV 数などに影響がないかチェックしてみてください。よかれと思って配置していたパーツが実は邪魔になっていて、シンプルにしたほうが各数値が向上することもありますよ。
#6 テーマを変更する
不要なプラグイン・パーツの整理やその他の技術的な対応が難しい場合、テーマを変えてみるというのも一つの手です。
高速化を考えて設計された秀逸なテーマがたくさんあり、テーマを変更しただけで表示速度が上がることも少なくありません。
たとえば、Luxeritas Theme は日本製の無料テーマのなかで最速の部類に入るでしょう。プラグインなしで使える機能がたくさんあり、カスタマイザーから圧縮・最適化することもできる素晴らしいテーマです。

有料テーマでは SWELL が群を抜いていきそうな感じです。
どんなに高速なテーマを使っていても、不必要に大きな画像を使っていたり、不要なプラグイン・パーツをたくさん使っていればテーマの持ち味を活かせなくなってしまいます。
各テーマの推奨設定・推奨プラグインに従って、テーマのポテンシャルを最大限に引き出しましょう。
#7 サーバーの高速化機能を使う
各レンタルサーバーには独自の高速化機能が用意されており、デフォルトで ON になっていると思います。
運営途中で高速化機能が追加された場合など、設定が OFF のままになっているケースもあるので、利用中のサーバー管理画面を一度チェックしてみてください。

使用しているテーマやプラグインによっては期待どおりの速さにならないかもしれませんが、最も手軽に試せる対策方法です。
#8 PHPバージョンを最新(推奨)にする
ブログを長年運営しているなら、PHP バージョンが古いままの可能性があります。
新しいバージョンのほうが高速ですし、古いバージョンのままだと正常に動作しないテーマ・プラグインがあるので、サーバーの推奨バージョンに変更してください。

PHP バージョンを最新にすることで逆に動かなくなるテーマ・プラグインもあります。古いテーマ・プラグインを使い続けるのはリスクが高いため、最新バージョンでも問題なく動作するものに切り替えていったほうがよいですね。
ちなみに WordPress5.9 の PHP 推奨バージョンは 7.4 以上となっています。
#9 サーバー(プラン)を変更する
月間 PV が数万ほどであれば、どのサーバーでも表示速度に大きな差はないと思います。
一つのサーバーに複数の WordPress を入れていたり、運営ブログのアクセス数が瞬間的にでも増えてくると、格安サーバー(格安プラン)では動作が鈍くなるかもしれません。
どんな対策をしても表示速度が遅い場合は、上位プランへの変更やサーバー自体の変更を検討したほうがよいでしょう。
以下は、まったく同じファイル( WordPress )を異なるサーバーに入れて同時刻に計測した数値です。
サーバー | 応答時間(秒) |
---|---|
格安サーバー | 1.406 |
エックスサーバー | 0.562 |
速度は約 3 倍となっていますが、価格も 3 倍くらい違います。と言っても、月 1,000 円ぐらいですけどね。
これから本腰を入れてブログを運営するなら、高速かつ安定しているサーバーをおすすめします。
#10 高速化プラグインを使う
WordPress には、「ファイル圧縮・結合」「キャッシュ」といった高速化プラグインが複数あります。
表示速度改善について書かれている記事を読むと、たいてい高速化プラグインの利用が推奨されていますが、以下のようなデメリットもあるので最終手段と考えたほうがよいです。
設定項目がシンプルで不具合も起こりづらいプラグインは、WP Fastest Cache だと思います。
いきなりメインブログでテストするのではなく、テスト用の環境を用意して試してみてください。テスト環境を用意する方法がわからないなら、キャッシュ系プラグインは使わないほうが無難ですね。
下手すると数日間ブログが停止するハメになるので、慎重に実行しましょう。
何をどうしても表示速度が改善しないのであれば、キャッシュ系プラグインを導入する前に一度プロに相談するのがよいかもしれません。本当は必要ないのにあれこれいじって逆に遅くなることもありますから・・・
Webサイト表示速度検証ツール
ページの表示速度をチェックできるサービス・ツールを 4 つご紹介します。
いずれのツールにおいても高得点を出せれば文句ありませんが、まずは PageSpeed Insights で 50 以上を目指してみましょう。
PageSpeed Insights

GTmetrix

Pingdom Website Speed Test

Web担当者Forum版 ページ速度分析ツール

まとめ
WordPress 高速化に必要な施策をまとめると、このようになります。
- 画像最適化(サイズ / 容量 / WebP)
- 不要なプラグインを削除
- 不要なウィジェット・パーツを削除
- テーマ変更
- サーバー高速化機能を利用
- PHP バージョン見直し
- サーバー変更
- 高速化プラグインを利用
まずは何といっても画像なので、サイズや容量の最適化から行ってみてください。その後、できるところから少しずつ取り組んでいくのがよいと思います。
大幅な変更を加えるさいは、必ずバックアップをとってからにしてくださいね。
それでは、また。