エックスサーバーと ConoHa WING のマニアックな比較

他サイトの「エックスサーバー」と「ConoHa WING」の比較記事では、表示速度や料金体系を中心に紹介されていることが多いですよね。

正直なところ、個人ブログで使うなら、エックスサーバーでも ConoHa WING でもどちらでもかまいません。表示速度に体感できるほどの差はなく、両者とも定期的にスペックが改良されていくからです。

本記事では、他サイトではあまり触れられていないマニアックな比較情報をエンジニア目線で解説しています。サイト売却を視野に入れていたり、再販を考えているならぜひご一読ください。

WordPress ブログ初心者に「エックスサーバー」をおすすめする理由

一般的な比較

XserverとConoHa WING
エックスサーバーConoHa WING
価格(月額換算)990 円~660 円~
無料お試しありなし
容量SSD 300 GBSSD 300 GB
無料独自ドメインありあり

細かい比較をあげていけばキリがないですけど、「個人ブログ運営」だけで見れば料金に差があるぐらい。

サーバー自体のスペックやサポートの質も比較対象とはなりますが、WordPress ブログを普通に運営していくなら、とくに気にする点ではありません。

個人的な所見では、速度もサポートの質もエックスサーバーのほうが上でした。そこが価格差に表れているのだと思います。

でも、ベンチマーク測定で表示速度の数値に差が出たとしても、体感できるほどではありませんし、少なくとも検索評価に影響するようなレベルではないですからね。

サポートも頻繁に利用するものではなく、つながったオペレーターによって差はあるでしょう。

どちらを推すか聞かれれば間違いなくエックスサーバーですが、少しでも安いほうがよいなら ConoHa WING でもまったく問題ありません。

マニアックな比較

あまり触れられることのないマニアックな面を比較していきましょう。

以下に該当する方は知っておいたほうがよい部分です。

  • クライアントのサイトを一括で管理している
  • 複数サイトを運営していて一部売却を視野に入れている
  • WordPress の修復を外注することが多い

https リダイレクト

エックスサーバーConoHa WING
https リダイレクト手動設定自動(強制)

両サーバーとも無料 SSL が用意されており、サーバー管理画面から簡単に切り替えられます。

SSL 化したあと、ConoHa WING は自動的に https へリダイレクトしてくれますが、エックスサーバーは自分で .htaccess を編集しなければなりません。

WordPress 初心者なら ConoHa WING のほうがよいですね。

ただ、ごくまれに「http の接続も必要とする」ケースがあり、その場合はエックスサーバーのほうが対応しやすくなります。

通常の運営では気にしなくてよいですが、SSL を維持したままサーバー移行するときや、証明書更新トラブル時などは注意が必要です。

エックスサーバーで WordPress を HTTPS(常時 SSL)化する手順

SSL 証明書更新

エックスサーバーConoHa WING
SSL 証明書手動更新不可

両サーバーとも SSL 証明書を自動更新してくれます。たまに自動更新に失敗することもありますが、証明書の期限が切れるまで何度か自動更新を試みてくれるのも同じ。

エックスサーバーは、自動更新に失敗したとき、期限が切れる前に管理画面から手動で更新することもできます。

対する ConoHa WING では、自動更新に失敗すると、期限が切れたあとに手動更新する形となっています(いったん SSL を OFF にする)。

ConoHa WING で以下のような状態に陥り、1 日ほどサイトが表示されなかった、というケースに数回遭遇しました。

証明書期限 3 日前
サーバーからメールが届く

「証明書の自動更新に失敗した」というメールが、期限 3 日前に突如送られてくる。

同日
技術的なエラーがあったので修正して連絡

自動更新に失敗する技術的な原因があったので、メールに記載されている指示に従い、解消したあとにすぐ ConoHa 担当者に返信。

証明書期日
まったく音沙汰なし

ConoHa 担当者から連絡がないまま、証明書の期日を迎える。更新されている様子はなく、受理されていたかも不明。

証明書期限切れ
サイトが表示されなくなる

証明書の期限が切れてしまい、サイトが表示されなくなる。https の強制リダイレクトは有効なため、http でも表示できない。サポートにすぐ連絡。

証明書更新
5 ~ 6 時間で更新する旨の返信

サポートに連絡してから数時間後に返信があり、さらに証明書更新まで数時間かかる旨が記載されていた。結局、ほぼ丸一日サイトが表示されず、売上に影響あり。

http にリダイレクトすると証明書更新ができないらしく、ConoHa WING で証明書が切れると完全に詰んでしまいます。

終日ダウンして売上に大きく影響が出るようなサイトであれば、エックスサーバーのほうがよいでしょう。

障害情報

エックスサーバーConoHa WING
障害情報一般公開管理画面内

エックスサーバーの障害情報はだれでも閲覧できるのに対し、ConoHa WING は管理画面にログインしなければ見られません。

サイトが表示されない不具合解消を外注するさい、障害情報の確認のためだけに第三者にログインパスワードを渡さなければならない、ということです。もしくは、キャプチャを送る形ですね。

ConoHa が障害情報をかたくなに一般公開しない理由はわかりませんが、他のサーバーに比べて障害が多いのでは、という穿った見方もできてしまいます。

障害・メンテナンス情報 | レンタルサーバーならエックスサーバー

管理画面(サーバーパネル)

エックスサーバーConoHa WING
サーバーパネル分離一体

エックスサーバーは、契約情報などを確認できるアカウント画面 / サーバーの操作ができるサーバーパネルが分離されています。

個人で運営するなら一体型の ConoHa WING のほうが楽かもしれませんが、制作や修復を外注するときに全情報を渡す形にもなります。

個人情報の漏洩などを考えると、不特定多数の外注が多くなるようであればエックスサーバーのほうが安心ですね。

受注する側としても、分離されていたほうが気を遣わずに済みます。

WAF 反映までの時間

エックスサーバーConoHa WING
WAF 反映までの時間10 分ほど即時

両サーバーともセキュリティ強化の WAF 機能を搭載していますが、エックスサーバーは ON / OFF の切り替えに 10 分ほど要します。

WAF を頻繁に操作するなら、即時切り替わる ConoHa WING のほうがよいでしょう。

なお、エックスサーバーで切り替え操作をすると 1 時間ほど「反映待ち」と表示され続けることがありますが、内部ではすでに切り替わっていることがほとんどです。

エックスサーバー WAF設定

自動バックアップからの復旧

エックスサーバーConoHa WING
復旧クリックのみ手動で復旧

両サーバーとも自動バックアップ機能があり、いざというときにとても便利ですよね。

でも、実際に復旧するとなると、ConoHa WING は FTP や phpMyAdmin の操作が必要になってきます。とくに「データベースを間違って消してしまった」ときは、かなり面倒です(復旧時に DB 名が変更されてしまう)。

エックスサーバーならクリックだけで操作できますから、復旧の外注費用や作業時間を考えるとエックスサーバーのほうが安心だと思います。

無料独自ドメイン縛り

エックスサーバーConoHa WING
無料独自ドメイン縛り解除可解除不可

両サーバーとも 12 か月以上の契約で無料独自ドメインを利用できます。

エックスサーバーは途中で適用を解除できますし、適用するドメインを変更することもできます。対する ConoHa WING は、WING パックを解約するまで何も操作できません

これは、サイト売却(ドメイン譲渡)に大きく影響します。

ConoHa WING の無料独自ドメインで作成したサイトは売却不可、ということですね。どうしても売却したい場合は、WING パックの期限が切れるまで待つか、サーバーアカウントごと譲渡する形になります。

無料独自ドメインを 2 つ使ってサイトを作成したとき、1 つだけ売却(譲渡)することはできないので、十分ご注意ください。

どちらがおすすめか

基本的なサーバースペックに大差はないので、エックスサーバーでも ConoHa WING でも、好きなほうを選んでかまいません。

簡単に言えば、「安定性重視ならエックスサーバー」「価格重視なら ConoHa WING」です。

あえてケースを細かく分けるなら、以下のようになります。

エックスサーバー
  • 制作や修復など外注を頼る機会が多い
  • 安定性を重視する
  • 他サーバーの利用を検討する可能性がある
ConoHa WING
  • 外注のさいに個人情報が知られてもかまわない
  • 安定性より価格重視
  • 個人で運営し、今後サーバーを変えるつもりはまったくない

制作・メンテナンス・修復を受注する側としては、どちらも大きな違いは感じません。

ハッキングによるファイル改ざんからの復旧を承ることも多いのですが、どちらのサーバーがハッキングされやすいということもないですね。

本記事でご紹介したように、細かい部分で少し使いづらいな、と思う点があるぐらいです。

どうしても迷うなら、エックスサーバーにしておけば困ることはありません。

Author

Naifix 編集部
Web コンサルティング業務を中心に、サイト制作・コンテンツ販売・メディア運営代行業務を行っております。当サイト(Naifix)では、おもにブログ初心者向けのノウハウを無料で配信しています。