Google の Navboost と Glue に関する解説・考察

SEO に関わる「Navboost」と「Glue」について解説します。

どちらも、Google 検索結果ページにおけるユーザーの行動が検索順位に関係する、という話です。

とくに目新しいものではありませんし、SEO 界隈で再注目されているようなものでもありませんが、正しい知識を取り入れて誤った情報に惑わされないようにしておきましょう。

Navboost と Glue とは

Navboost と Glue について、Pandu Nayak 氏が独占禁止法裁判で証言しています。

Pandu Nayak 氏の証言(英文 / PDF)

端的にまとめると、それぞれ以下の役割をもっています。

Navboostクエリに対する検索結果のクリックを見ている
Glueクリックのほかにスクロールやホバーなど検索結果ページ(SERP)のユーザー行動を見ている

Navboost が見ている「検索結果」は、検索結果ページに出てきた各サイトのリンクを指します。

Navboost が見ている「検索結果」

対して Glue は「検索結果のページすべて」を見ています。地図・カルーセル・ナレッジパネル・関連する質問などですね。

Glue が見ている「検索結果画面」

自分のブログでヒートマップツールを導入し、読者のクリックやスクロールを測定しているのと同じようなもの、というイメージでよいでしょう。

Google は、ユーザーがスマホで検索しているのか、どこで検索しているのか、というのもすべて把握して検索結果の反映に役立てているようです。

Navboost と Glue に関する誤解

Nayak 氏に対する質問にある「not web results」を切り取って、「検索結果だけではない = Google 以外の Web サイト」と解釈している方もいるようですが、完全なる誤解です。

And glue does everything else that’s on the page that’s not web results, right?

IN THE UNITED STATES DISTRICT COURT FOR THE DISTRICT OF COLUMBIA p.12

先ほどの図にあるとおり、検索結果はクエリに対する各サイトへのリンクを指しています。

「everything else that’s on the page that’s not web results」は、各サイトへのリンク以外を含めた検索結果ページ全体、という意味です。

Navboost は自分のブログ内のリンククリックも見ているんだ、と都合よく解釈しないようご注意ください。

以下の記事もご参考まで。

Glue is the counterpart to Navboost and informs what other features are populated on a SERP.

What Pandu Nayak Taught Me About SEO

Navboost と Glue への特別な施策は不要

Navboost と Glue に関する事実を解説してきましたが、ここからは推測や個人的な考えも含まれます。

Navboost と Glue は注目すべき情報ではない

Navboost と Glue に関する証言は、とくに注目すべき話ではありません。

SEO 界隈では昔から「Google は検索結果の行動を見ている」というのが通説となっていましたし、その検証も多数行われてきました。

「検索結果のクリック率が順位に影響する」という仮説をもとに、クラウドソーシングなどでクライアントサイトのクリックを堂々と買っていた業者もいましたね(今もいるかもしれません)。

検索結果クリック依頼の仕事
某サイトで募集されていたクリック依頼

クリックだけで順位が変動する = だれでもスパムで攻略できてしまうシステムを Google が野放しにしておくことはないでしょう。実際にスパム対策は強化されており、クリックが増えただけで順位が上がることはなくなっていると思います。

その視点で考えても、Nayak 氏の証言は今さら感しかなく、重視すべきものではありません。

Navboost というシステムの存在が公にされたところで、改めて対策すべき点はないと言えます。

最低限の施策をしておけば問題ない

Navboost への有効な対策を考えるとしたら、次のようなものがあげられるでしょう。

  • 記事タイトルを改善する
  • 読者に明確な答えをわかりやすく提示する
  • 読者を飽きさせない工夫をする
  • 関連記事へのリンクをしっかり載せる
  • リッチリザルト用にマークアップする

リッチリザルトを除けば、これらは「当たり前に行う最低限の施策」であって、Navboost の存在に関係なく実施すべきです。もっと言えば、検索に関係なく実施すべきものですね。

検索順位を上げるために xxx をする、という考え方をしていると、いつまでも後手に回る形になってしまいます。

コアアップデートなどで検索順位が著しく低下したなら、根本的な見直しが必要です。上辺だけのテクニックではどうにもならないので、時間をかけて改善してください。

Google コアアップデートで検索順位が低下したときの対処法

Google はブログ内のユーザー行動を見ているのか

ユーザー行動については、「ブログ内のユーザー行動も検索評価に影響するのか」という点が気になるところだと思います。

前述のとおり、Navboost と Glue は Google 検索結果画面を見ているシステムで、Google 以外のサイトは見ていません

それとは違うシステムが存在し、全世界のサイト内のユーザー行動を見ているかは Google にしかわからず、SEO 界隈でも「見ている派」と「見ていない派」に分かれます。

個人的には後者ですが、どちらを信じるかはあなた次第。

ブログ初心者が気にしなくてよい SEO 都市伝説 10 選

Google が何度も公言しているように、アナリティクスのデータをランキングに使用していないのは本当だと思います。とすると、各サイトのデータがとれるのは Chrome しかありません。

しかし、各サイトのユーザーデータを勝手に収集して検索に使っていたとしたら、個人情報に厳しい国は黙っていないでしょう。

真相はどうであれ、たとえ見られていたとしてもやるべきことは変わらないですけどね。

検索のことは考えずにブログ内のユーザー行動を分析し、ブログの改善を積み重ねていけば、間接的に順位向上につながるかもしれません。

まとめ

X で Navboost に関するポストを見かけたので解説してみましたが、「今さら」の話だと思います。

コアアップデートに深く関連するものでもなく、100 以上あるシグナルの 1 つに過ぎません。SEO マニアならいざ知らず、ブログ運営者にとってはどうでもよい話です。

「Google はブログ内の行動も順位に反映させていると公表した!」というようなデタラメを信じないようにだけご注意ください。

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Naifix 編集部
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