ページネーションでブログ記事を分割するメリット・デメリット

WordPress では簡単に 1 つの記事を複数ページに分割して、下部にページャーを表示できます。

個人ブログではあまり見かけませんが、1 つの記事をいくつかのページに分けることにはどのような意味があるのでしょうか。そのメリットとデメリットを解説します。

また、SEO 上の注意点についてもいくつか取り上げます。

記事を分割するメリット

まず、記事を分割するメリットから見ていきましょう。

PV 数が増える

記事を分割すると、単純に PV 数が増加する可能性があります。

たとえば、1 日 10 人の読者がブログに訪れてくれて、それぞれが 1 つの記事を読んでくれたとします。

そのとき、ページが分割されていない場合と、3 ページに分割されている場合では 3 倍の開きがあるのです(※ 分割しても最後まで読んでくれた場合)。

記事を分割していない10 PV
記事を 3 ページに分割30 PV

ふだんから PV 数をアピールしているのであれば、同業者に「すごい」と思わせられるかもしれません。また、広告掲載依頼にもつながる可能性があります。

Google AdSense のような広告を掲載している場合も、露出が増えることにより収益は伸びるでしょう。

読者の読み疲れを軽減させる

1 ページあたりの文字数があまりに多いと、読者は目を動かし続けることになるので疲れてしまうかもしれません。

そのため、段落や改行とその間隔を考え、さらには見出しや画像を使ってできるだけ読みやすくなるような工夫が必要になってきます。

記事を分割しておけば、次のページに進むたびにちょっと時間が空くので、いったん目を休めてもらうことができますよね。各ページが章ごと(テーマごと)にまとまっているなら、読みやすい記事になります。

ドキドキ感を演出できる

ネタ記事を書くときに、「ボケ」や「ツッコミ」を効果的に演出するのが “間” です。一般的な記事でも、起承転結の「転」をすぐに見せるのではなく、いったん空白の時間を作りたいときがあるかもしれません。

「誰でも簡単にダイエットできる方法があるんです! それは…」

この答えをすぐに見せるのと見せないのでは、読者のドキドキ感・期待感が変わってきます。このあたりを上手に演出しているおもしろブログもたくさんありますよね。

1 ページの記事であれば、余白を多めにとって、スクロールしていくと答えが出てくるような演出が簡単で効果的かと思います。

ページを分割するなら、次ページにその答えを書いておけば OK。マンガや小説でもこのテクニックが使われているので、読者にとって違和感のない方法かもしれません。

ページごとにブックマーク・シェアしてもらえる

技術系の記事をブックマークまたはシェアするとき、記事全体ではなく一部分に記されているコードだけが必要、というのはよくありますよね。

あまりに記事が長いと、あとから読み返したときに目的の部分を探すのにちょっと時間がかかってしまうかもしれません。

目次が設置されていて見出しに ID がふられていればそのリンクを使えますが、ページが分割されていれば当該ページのみブックマーク or シェアできます。

何度も繰り返し訪れてくれるブログは、間接的に検索評価に良い影響を及ぼします

記事を分割するデメリット

記事を分割するデメリットも見ていきましょう。

クリック・タップという行動を嫌う人がいる

マクスウェル・サックハイムの三原則にあるように、お客様は行動しないものです。何かアクションを要求されたとたん、拒否反応が起きてしまいます。

記事を分割すると、どうしてもページャーをクリックすることになりますよね。これを嫌って、ブラウザのアドオンで自動的に次のページを読み込んでいる方もいるでしょう。

とくに、スマホからのアクセスが多いなら、タップしやすい位置にタップしやすい大きさでページャーを設置しておかなければ、その時点で離脱される可能性が高くなります。

どちらかというと、タップよりスクロールのほうがストレスなく読んでくれる可能性があります。

PV 稼ぎと批難する人もいる

メリットであげたように、記事を分割することで PV 数の増加が見込めます。しかし、それを「かさ増しである」と断言して批難する方も出てきます。

本当は 1 万 PV ぐらいのポテンシャルしかないのに、記事を分割して 30 万 PV にしているだけ、なんて突っ込んでくるのです。

条件を等しくした上で PV 数を争っているならそれもわかりますが、まったく関係のないブログに対して批難してくる人はけっこういますからね。

精神衛生上あまりよろしくないので、他人の目を極端に気にしてしまうなら、(PV 数のアピールも)やめたほうがよいかもしれません。

読み込み時間が遅いと離脱してしまう

低速度の回線・低スペックの端末では、次ページの表示にちょっと時間がかかってしまいます。たとえ高速回線でも、ブログの設計やサーバーの性能によっては表示が遅くなるかもしれません。

あまりに速度が遅いと読者はイライラして離脱してしまうので、記事を分割するのであれば次ページをあらかじめ読み込ませておくような工夫が必要です( rel=prefetch など)。

どのような環境でも同じように見せたいのであれば、多少記事が長くなっても 1 ページで完結させたほうがユーザーに優しい設計かもしれません。

ブラウザの戻るボタンの使い方を知らない人がいる

ある情報を探して検索サイトから入ってきた読者は、そこに目的の情報がなければ再び検索結果ページに戻ることが多いものです。

とくに設定していなければ、分割したリンク先のページを同一タブ内に開くことになります。そして、検索サイトに戻るときはブラウザの「戻る」ボタンから。

分割されている記事を最後まで読んだとき、ブラウザの「戻る」ボタンを長押しすることで履歴が表示され、そこからダイレクトに検索サイトへ戻れますよね。でも、それを知らずに何度もクリックして検索サイトへ戻る方もいます。

この作業が煩わしいため、分割されている記事を好まない方もいるのです。

ただ PV 数を伸ばそうとした施策より、操作しやすいサイトづくりを目指したほうが良い結果に結びつきやすいですよ。

Table of Contents Plus はページごとに目次を生成する

WordPress ユーザー限定の話ですが、記事に自動で目次をつけられる「Table of Contents Plus」という便利なプラグインがあります。

「Table of Contents Plus」の設定方法・使い方

見出しに ID が付与され、目次内のリンクをクリックするとその見出しへジャンプできますが、記事を分割するとページごとに目次が生成されます。

そのため、記事全体の目次を設置したいのであれば、各ページへのリンクを手動で設置するか、TOC+ を使わず自動的に目次をつけられるようテーマを改造しなければなりません。

使いやすい目次があるとユーザビリティを強化できますし、それは間接的に検索評価にプラスとなります。

記事を複数ページに分割するときの SEO

「記事を複数ページにする」というだけで検索順位に大きく影響することはありません。結局は、それが読者のためになるかどうか、です。

WordPress は特別な対応をしなくても大丈夫

技術的な施策に関して言えば、Google のヘルプにあるとおり何もしなくても大丈夫です。

WordPress は、ページを分割したときに各ページヘのリンクを適切に表示してくれます(きちんとデザインされているかは、テーマによります)。

複数ページの記事について: 1 つの記事が複数ページにわたる場合は、次ページや前ページへのリンクを目立つようにして、ユーザーが容易にクリックできるようにします(同時に、クロール可能なリンクにします)。Google がそのページセットをクロールするのに必要なことはそれだけです。

サイト運用 SEO メンテナンス ガイド | Google 検索セントラル

昔は rel="next" rel="prev" の指定をしていましたが、2019 年 3 月時点でサポート終了が公言されています。分割されたページは独立した個々のページとして認識され、あとはリンクで Google が判断するようです。

canonical や noindex の指定も必要ありません。そのまま WordPress に任せておけば OK です。

ただし、テーマ制作者の SEO 知識が不足している場合、2 ページ目以降を一律 noindex とするような設計をしているかもしれません。何か技術的な問題が発生したら、テーマ制作者や有識者に聞いてみるとよいでしょう。

ページ速度を改善したい場合

ページを分割したさい、読者が 1 ページ目を読んでいるあいだに 2 ページ目の内容を事前に読み込ませることができます。

<!-- 2 ページ目を先読み -->
<link rel="prefetch" href="/articles/2/" as="document">

今後のナビゲーションを高速化するためにリソースをプリフェッチする  |  Articles  |  web.dev

テーマまたはプラグインによるカスタマイズが必要なので、初心者には少し難しいかもしれません。

高速化プラグインによっては、ページを分割しているかどうかによらず、内部リンク先の数ページをあらかじめ読み込んでいる場合があります。

まとめ

個人的に、ブログでは記事を複数ページに分ける必要はないと思っています。

どのような構成にするかは運営者の好みですが、読者がどのような形を望んでいるのか、どのようにすればストレスなく読めるかを第一に考えましょう。

画面の向こう側にいる読者の姿を想像しながら、いろいろ試してみてください。

Author

Naifix 編集部
Web コンサルティング業務を中心に、サイト制作・コンテンツ販売・メディア運営代行業務を行っております。当サイト(Naifix)では、おもにブログ初心者向けのノウハウを無料で配信しています。