独自ドメインを取得して、レンタルサーバーで WordPress ブログを始めようと思っているあなたへ。

今まで無料ブログサービスを利用していたなら、不安なことばかりかもしれません。とくに、ブログをどう宣伝してどうアクセス数を集めるのかというところが最大の難関と感じているでしょう。
安定したアクセス数に必要なのは、検索サイトの上位表示。そのために必要なのがSEO。ここまではわかっているけど、じゃあ具体的にどうすれば良いのかという部分が曖昧かもしれません。
SEO に詳しいサイトを見て勉強して施策したところで検索流入は伸びず、せっかく増えてきたと思ったら 1 ヶ月後にはガクッと落ちてしまうなんていうのもよくある話。
おそらくそれは複雑に考えすぎているのが原因です。本当はもっとシンプルなんですよ。SEOって。
SEOとは何なのか

SEO(Search Engine Optimization)を日本語にすると、検索エンジン最適化。
文字どおり、検索エンジンにサイトの構造や状況を的確に伝える手法です。その目的は、検索結果の上位に自サイトを表示してもらおう、ということですね。
残念ながら多くの方はここがゴールであると錯覚しています。
ブログ・検索サイト・ユーザーの位置関係
なぜ上位表示が必要かというと、自分のブログをできるだけ多くのユーザーに読んでもらいたいからですよね。
その結果、自分の存在をアピールしたい、役立ててもらいたい、収益化したいという目的を達成することができます。
「残念ながら」というのは、目的が上位表示に終始しているからです。そこで止まってしまうと、検索エンジンをなんとか出し抜いてやろうと敵視することになってしまいます。

しかし、本来は検索サイトと協力してユーザーのほうを向くのが正しいあり方です。

検索エンジンをだまそうとするのではなく、どうすれば協力できるのかを考えるのがSEOの本質ということですね。
WordPressはSEOに強いのか

勉強熱心なあなたは、「SEO に強い」という言葉を聞いたことがあると思います。
これはかなり誤解を招く言葉で、たとえば「WordPress は SEO に強い」という言葉をそのまま飲み込んでしまうと、「何を書いても上位表示されやすい」と勝手に脳内変換してしまうかもしれません。
身に覚えがありませんか?
外部施策と内部施策
SEOを大きく分けると、「外部施策」と「内部施策」の2つにわけることができます。
簡単に言うと、外部施策とは自ブログへのリンクです。
基本的にブログ(記事)に対するリンクの数が多くなるほど、「そこに書かれている内容は多くのユーザーに支持されているものだ」と検索エンジンが判断します。
ここでは詳しく触れませんが、じゃあこのリンクを意図的に自作自演で作り上げてしまおう、というのが俗に言うスパム行為ですね。
一方の内部施策とは、ブログの構造を検索エンジンが理解しやすくするものです。
ブログ全体、あるいは単一の記事がどのようなテーマを扱っており、どこに何が書かれているのか。それを検索エンジンにわかりやすく伝えます。
WordPress はこの内部施策がしやすい CMS であり、これが「SEO に強い」と言われる所以です。勝手にバンバン外部リンクを集めてくるわけではありません。
- CMS
- コンテンツマネジメントシステム Content Management System の略。HTMLに関する知識がなくてもWEBサイトを構築することができる。ただし、カスタマイズにはCSSやPHPなどの知識が必要。
SEOに強いテーマは存在するのか
「SEO に強い」といううたい文句を掲げるテーマがありますが、何をもって強いというのか明確な定義はありません。
あえて挙げるなら、下記の要素を満たしているものが SEO に強いと考えられます。
- title や meta タグの出力が適切である
- 全体の構造が把握しやすい
- 見出しタグの順番が正しい
- 関連記事が表示されるようになっている
どのテーマを使ってもこれらの要件はほぼ満たしており、足りない部分があったとしてもプラグインを利用すれば比較的簡単に補うことができます。
いずれにせよ、あくまで必要最低限の要素を満たしているだけであり、何を書いても上位表示されるテーマなど存在しません。
必要に応じてブログを強化していくことができる。これが WordPress の強みであり、ひいては「SEO に強い」ことになります。
その強みを活かすことができるかどうかは、中身次第です。
上辺だけをとらえてもまるで意味がないSEO

SEO の基本に関しては、Google が提供している「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」を読めば十分です。
しかし、あちこちのサイトではさらに突っ込んだ解説がされていることもあるでしょう。そのなかには基本を理解していなければ意味がないものもたくさんあります。
というわけで、やっとここから本題。WordPress初心者が本当に把握しておきたい SEO の話をまとめてご紹介していきます。
SEO系プラグインは必須ではない

WordPress プラグインのなかで必須、あるいはイチオシとして紹介されることが多い「All in One SEO Pack」や「Yoast SEO」は、ブログ初心者には必要ありません。
このプラグインは細かな設定を行うことができ、使いこなすことができれば有効な働きをしてくれます。
しかし使い方を誤ると、コードが重複したり、重要なページをブロックしたり、最適化ではなく“最悪化”する可能性があります。
少なくとも、インストールした “だけ” では何の意味もありません。
個人ブログにnoindexは不要
「タグページは重複コンテンツ扱いになるから noindex !」と言われることも多いですが、はっきり言って個人ブログで気にする必要はありません。
カテゴリーページやタグページを noindex とすることに関しては、そのブログごとにそれが最適なのかどうか変わります。
使用するさいは、各設定項目がどのような意味をもち、それぞれが自分のブログに必要かどうかを判断できるようになってからにしましょう。使わなくても上位表示はされますし、使ったから必ず上位表示されるわけではありません。
最適な概要を書けないならdescriptionは不要

サイトの概要を記述するメタディスクリプション meta description を設定するには、テーマをカスタマイズするか「Meta Manager」などのプラグインを使用します。
最近では、あらかじめメタディスクリプションを出力する仕様のテーマも増えてきましたね。
先ほどご紹介したスターターガイドの中には「descriptionメタタグを設定するメリット」について書かれていますが、下記のような注意事項も併記されています。
- ページの内容に関係のないdescriptionメタタグは書かない
- 「これはウェブページです」「花についてのページ」などの一般的な文章にしない
- キーワードだけで埋めつくさない
- descriptionメタタグにページの内容をすべてコピー&ペーストしない
もし、これらをクリアする自信がないのであれば、このメタタグを無理に使う必要はありません。検索サイトが自動的に概要を表示してくれます。
仮になんら関係のない内容を記したり、キーワードだけで埋めつくしたタグを設定すると、検索エンジンからスパムとみなされる可能性もあります。
余談ですが、GoogleのMatt Cutts氏のブログ にはこのメタタグは記述されていません。
文字数1000は都市伝説

つづいて文字数の話ですが、上位表示のためにひと記事あたりどれぐらいの文字数が必要なのか、に関して明確な定義はありません。
これは当たり前の話で、もし最低 2,000 文字が必要であるなら、適当な文章をだらだら書いてアップすれば誰でも上位表示が可能になってしまいます。自動生成することだってできますね。
300 とか 500 とか 3000 という数字があちこちで出てきますが、とくに気にする必要はありません。むしろ、どれだけ読みやすく洗練された文章を書けるかに留意したほうが良いでしょう。
ユーザーが満足するコンテンツは、文字数ではなく質です。
文字数が多ければいろいろなキーワードで検索されるかもしれませんが、はたしてそこに最適な答えはあるでしょうか。量ばかり考えて質が低下するようでは本末転倒です。
文字数で質が確保されるのではなく、質を確保するために必要な文字数があるのです。
長文を書いてその一部が検索でヒットしたとしても、中身がうすっぺらであれば離脱率はものすごく高くなるでしょう。せっかく訪れてくれたユーザーにストレスを与えてしまうと、二度と戻ってきませんよ。
低品質なページをブロックするぐらいなら書くな

robots.txtやメタタグの設定で、検索エンジンのクロールをこちらからある程度制御することができます。
「このページには有用なことが書かれていないからクロール(インデックス)しないでね」と伝えるのは確かに有効な手法ですが、それは個人ブログに必要かといえばそうではありません。
むしろ、下手にいじらず全ページ巡回してもらうことをお勧めします。そのさいは CSS や JavaScript のありかも伝えましょう。
低品質と思われるページをブロックすることで、相対的に他のページが高品質と判断されるわけではありません。
また、低品質コンテンツがブログ全体に影響を及ぼすんじゃないかと考えるぐらいなら、はじめからそんな記事を書かないほうが良いです。
個人ブログは何を書くのも自由ですが、もし SEO を考えるなら読者を意識した良質なコンテンツの提供に努めましょう。もちろん、検索など意識せず、SNS からの流入がメインのブログを育てるのもありですよ。
SEOを意識した記事の書き方

基本的な内部施策はテーマに任せておくことにして、ここではブロガー自身がもっとも気を使うべき分野、記事そのものの書き方に関して解説していきます。
タイトルはキーワードを含めた簡潔なものを
テーマによって異なりますが、WordPress の記事タイトル部分には <h1> や <h2> が使われています。また同時に <title> にも反映されます。
ここは検索エンジンを意識してキーワードを羅列したいところですが、いちばん大切なのはタイトルを読んだユーザーが中身を判断し、メリットを感じられることです。
たった数文字で検索順位が変わることもあるため、内容に自信はあるけど順位が伸び悩んでいる場合はまずタイトルを変更してみましょう。
- キーワードが含まれているか
- ターゲットが含まれているか
- メリットが含まれているか
この 3 点を意識して改善してみてください。
文字数に関しては、検索結果に反映される 30 文字前後が有効と言われています。これはあくまでひとつの目安であり、10 文字のタイトルや 50 文字のタイトルが不利というわけではありません。
見出しは各章のタイトル
記事タイトルが<h1>だとすると、見出しで使うのは<h2>から<h6>タグ。まず、順番がバラバラにならないことに気をつけてください。
○順序良く並んでいる良い例
<h2>大見出し</h2>
<h3>中見出し</h3>
<h4>小見出し</h4>
<h3>中見出し</h3>
<h4>小見出し</h4>
×順序がバラバラな悪い例
<h2>大見出し</h2>
<h4>小見出し</h4>
<h3>中見出し</h3>
<h6>小見出し</h6>
<h4>小見出し</h4>
ブログ記事を1冊の本と考えるなら、各見出しは目次と同じ役目を果たします。
目次を読めば、どこに探している情報が載せられているかを判断できますよね。記事タイトルと同じく、各見出しを読んだだけでユーザーが内容を推測できるよう設定しましょう。
検索結果のスニペットにこの見出しが採用されるケースもあります。
- スニペット
- 検索結果のタイトル下に表示されるページの概要のこと。description メタタグが反映されるが、必ず採用されるとは限らない。
タイトル同様、この見出しも検索エンジンは重視しているということですね。

段落と改行は読みやすさを意識して使い分ける
文の意味が変わるところで段落をつけるのが基本です。検索エンジンもそのように認識しています。
しかし、あまり難しく考えすぎて書けなくなるのも困りもの。慣れるまでは、「2~3行でひとかたまり」と自分だけのルールを作っておくほうがわかりやすいかもしれません。このブログでは最大3行を一応の目安として設定しています。
ただし、これはPC表示の場合であって画面幅の小さいスマホではひと段落あたりの行数は増えてしまいます。実際にスマホで確認してみて、読みやすいかどうかチェックしておきましょう。
また、PC表示にあわせて細かな改行を入れてしまうと、スマホでは読みづらくなってしまいます。ここら辺も考慮に入れて書く必要があります。
このように読点ごとに改行してしまうと、
スマホではおかしなところに改行が入ってしまい、端末のサイズによっては
読みづらくなってしまいます。
なお、WordPress ではビジュアルモードで連続改行すると以下のようなコードが出力されます。
<p>改行テスト</p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p>改行テスト</p>
このようにカラの段落を入れたり、改行タグ <br> を連続で使うことはあまり好ましくありません。
見た目の調整は CSS で行うようにしましょう。
リストタグを積極的に使ってみよう
<li> タグや <ol> タグを使うと、もっと読みやすい文章になりませんか?
例1)リストを使わない場合
これからWordPressをはじめるなら、独自ドメインを取得し、レンタルサーバーを借り、WP本体をインストールする必要があります。
例2)リストを使う場合
WordPressをはじめる手順は下記のとおりです。
- 独自ドメインを取得する
- レンタルサーバーを借りる
- WP本体をインストールする
リストタグを使わず、改行だけでも同様の表現ができます。ブラウザで人が見るぶんにはどちらも同じですが、検索エンジンはリストタグを認識します。
文章を読みやすく整え、検索エンジンにも構造を伝えられる。これがリストを使うメリットです。積極的に活用してみましょう。
画像には必ずaltを記述する
記事内に画像を使うことで、文章だけでは伝えきれない部分を補足したり、あるいはいったん目を休めてもらう効果があります。
今のところ、検索エンジンは画像に直接書かれている文字を認識することはできません。また、画像自体の意味を完璧に把握することもできません。
このため、画像には必ず alt をつけるようにしましょう。
<img src="画像URL" alt="画像の説明文" />
WordPressでは、「タイトル」や「代替テキスト」に入力したものが alt に反映される仕組みになっています。

少し面倒ですが、ひと手間加えて検索エンジンにも画像の意味を伝えましょう。検索結果に表示されるのは、alt に設定されている文字列がキーワードになります。
また、何らかの不具合で画像が読み込まれないときに、alt が表示されます。ブログタイトルを画像で表示している場合は必須ですね。
検索順位が落ちる理由とやるべきこと

長々と話してきましたが、もう少しお付き合いください。冒頭で触れた「せっかく増えてきたと思ったら1ヶ月後にはガクッと落ちてしまう」現象について解説します。
まず、検索エンジンのアルゴリズムは常に更新されており、ときおり大きな変更が加えられることがあります。
このため、検索順位が落ちる理由はひとつに絞りきることができません。大きく分けると、下記のような可能性が考えられます。
- 一定期間優遇されていた
- アルゴリズムの変更時期だった
- パーソナライズド検索が有効になっていた
- スパム判定された
もう少し詳しく見ていきましょう。
検索順位は一定期間優遇される
検索順位を決定する要素はたくさんあり、そのすべてを正確に把握することはできません。
ここで取り上げる「一定期間優遇される」というのも、どのくらいの期間なのか、すべてのウェブサイトに適用されるのか、という具体的なことはわかりません。
しかし、外部の情報や自分のデータや経験から、新規ブログを立ち上げたさい、あるいは新規投稿を行ったさいに上位表示されることがあるのは確かです。
これは一種のテスト期間であると考えられます。
新規記事の内容が他サイトに比べてクオリティが高く、一時的に上位表示することで多くの支持(リンク)を得られるようならばその後も継続して上位表示させる、という。
一気に数記事が順位を落とした場合は、残念ながら基準をクリアできなかったということかもしれません。
アルゴリズムの変更時期に当たった場合
namaz.jp を見るとわかるように、検索順位が大変動することがあります。

これは主にアルゴリズムに変更が加えられたことが原因で、その目的はスパムサイトの排除です。
ただし、その過程で正常なサイトまでもが影響を受けて順位を落とすことがあります。この場合はすぐに対応を考えるのではなく、おとなしく待つのが有効です。
いつまで経っても元に戻らない場合、残念ながら質が低いと判断されたのかもしれません。過去記事をチェックしてみましょう。
- この記事を読むことでメリットが得られるのか
- スパムサイトからリンクを張られていないか
- 悪質なサイトへリンクを張っていないか
- ファーストビューを広告で占領するなどユーザーにとって不利益な構造ではないか
どのようなサイトがスパムと判断されるのかは、Google で説明されています。
検索結果が違う?パーソナライズド検索とは
Googleにはパーソナライズド検索というものがあり、ユーザー個々にあわせて微妙に違う検索結果を返すことがあります。
たとえば、いつも自分のPCから自分のブログを検索している場合、そのブログが優先されて上位表示されるのです。別のPCから同じキーワードで検索すると、そこには自分のブログが上位表示されません。
1位とったどー!というのが実は勘違いだった、ということがないよう、順位チェックは外部ツールを利用するのが良いでしょう。
スパム判定されてしまった
新ブログを開設して、まだ数記事にも満たないのにいきなり外部リンクが1000個も張られたとしたらどうでしょう。有名人ならわかりますが、無名の新米ブロガーには考えられない話です。
このような現象が起きたときに、検索エンジンは新ブログをスパムサイトとして検索結果から弾き飛ばします。
本当にスパム行為だとしたら、その新ブログへリンクを張ったサイトもスパム扱いされることがあります。

この場合はスパム行為を一切やめ、新しく仕切りなおすしかありません。状況によりますが、検索順位を元に戻すのにはかなり時間がかかります。
検索エンジンをだまそうと考えるのではなく、開設当初からコツコツと良質なコンテンツを築き上げていきましょう。それが初心者にとって一番の近道です。
まとめ
記事が長すぎて『どこがシンプルなんだよ!』という声が聞こえてきそうですが、まとめると実にシンプルです。
- 第一に良質なコンテンツの提供を心がける
- 読みやすく、わかりやすい記事の書き方を勉強する
- 小手先のSEOテクニックは無視
当ブログではこの3点を重視し、結果的に検索流入は右肩上がりで推移しています。
細かな対策は、SEOに関する理解を深めてから、またはブログが数千ページにも及ぶようになってからでかまいません。
『順位が落ちちゃったよー!』という場合は、誰もその記事を必要としていなかったから、ということが考えられます。いや、そう考えるべきです。WordPress がどうとか、テーマがどうとか、noindex がどうとかいう問題じゃないんです。
順位の低下があったら己を疑え、ということですね。あわてても良い結果は生まれないので、一歩ずつ着実に前進していきましょう。
それでは、また。