
月初になると、アクセス数や収益の報告記事がたくさん出てきますよね。また、それらの統計情報をサイドバーやプロフィールページで公開しているブログも少なくありません。
情報を開示する目的はサイト運営者・ブロガーによって違うと思いますが、もし同じように公開するならメリットとデメリットがあることを覚えておきましょう。
脅すわけではありませんが、気軽に書いた記事がとんでもない事態を招く原因となってしまった、なんてことだってあるんですよ。
Headline
情報を公開するメリット
アクセス数・収益を公開するメリットは、おもに 3 つあります。
- アクセス数や収益に関心のある人(同業者)が読んでくれる
- 仲間やファンが応援してくれるようになる
- 数字によっては広告掲載や執筆の依頼がくるキッカケとなる
(1)アクセス数や収益に関心のある人が集まる
他人の秘密をのぞいてみたい、という思いは誰にでも少なからずあると思います。
「このブログってどのくらいアクセス数あるのかなー」って興味ありませんか?
検索順位をもとに PV を推測できるツールもありますが、正確なところはやはりそのブログを運営している本人にしかわかりません。
ブログを運営していると、目安とか目標とか、比較するものがほしくなるはずです。もしだれもアクセス数を公開していなかったとしたら、自分のブログは数字的に良いのか悪いのか判断しづらくなるでしょう(数字だけがすべてではありませんが)。
比較するものがあると、結果はどうであれ安心するわけです。そして、平均値以上あればもっと安心します。
しかし、平均値をもとに目標を立てたところで、そう簡単にクリアできるわけじゃありません。思いつくことはやってみたけれど、イマイチ伸びない。どうすれば月に 100 万 PV なんていくんだろう…。
そこに「月間 100 万 PV 達成記念!効果のあったアクセスアップ方法を全部公開」なんて記事が出てきたら、読んじゃいますよね。100 万は無理としても、そのノウハウを使えば 1/10 ぐらいはイケるんじゃないだろうか、と思うかもしれません。
PV 数や収益額の数字は大きいほど効果があり、比例して人が集まります。それだけアクセスを集めたい人・稼ぎたい人がたくさんいるということです。
(2)仲間やファンが応援してくれるようになる
ブログを始めた時期があなたと近く、PV 数も同じくらいのブログを見つけたらどう思うでしょうか。勝手に仲間意識が芽生えたりしませんか?
Twitter でシェアしたのをきっかけに交流を深めるようになったり、実際に会って親友になることも少なくありません。
ブログを運営していく上で “どのような壁にぶつかり、どうやって乗り越えたのか” を記事にしておくと、同じような悩みを抱えている人が読んでくれるようになります。
そのときは、仲間というよりひとりのファンとなってくれるでしょう。もしかすると、弟子入りさせてください! なんて人がくるかもしれませんよ。
どのような関係であれ、人と人がつながるきっかけになる、ということですね。
実際は全然関係ないんですが、やっぱり「月間 300 万 PV です!」というブロガーはちょっと雲の上の存在っぽくて、それよりは自分と近い環境のブロガーに親近感を覚えるものです。
(3)広告掲載や執筆の依頼がくるようになる
どんな分野の記事を書いているかでも違いますが、数字を載せておくと「月額いくらで広告掲載してほしい」あるいは「新しくスタートするサービスの紹介記事を書いてほしい」という依頼がくるようになります。
他社の媒体でライターとして書いてほしいとか、協業で新しいビジネスを始めよう、というお誘いがくることもあるでしょう。
※ もちろん企業側はしっかりリサーチしたうえで接触してくるので、嘘を書いてもバレます。
PV 数や収益額がブログのウリとなっているわけですから、積極的に公開して損はありません。
ただ数字を載せるだけではなく、どの記事にどんな人がきているのか、どのキーワードが検索上位なのか、という情報もあるとなおよいですね。
自ら広告掲載を募集するのであれば、詳細情報は伏せておいて問い合わせてくれた方に公開する、という方法でもかまわないと思います。
情報を公開するデメリット
では、次にデメリットを見ていきましょう。
- PV を増やすことがブログの目的になり、アクセス数減少が恐怖に変わる
- 仲間意識を持ってくれていた方が離れていく
- 嫉妬による嫌がらせが出てくる
- Google AdSense 規約違反とみなされ、広告配信停止の可能性がある
(1)アクセス数が手段ではなく目的になってしまう
PV 数をひとつの目標とするのはモチベーション維持に必要かもしれませんが、それはあくまで目的を達成するための手段だったはずです。
でも、ブログを始めて数ヶ月経過したのち、PV にばかりとらわれるようになってしまった、という方をたくさん見てきました。
PV を伸ばすこと自体が目的になると、毎日更新しなければ落ち着かなくなったり、書きたくないことまで書くようになったりと、どこかに歪みが生じてきます。
なかには運営報告の数字で褒められる快感を忘れられず、「もし来月 PV が落ちたらどうしよう」という恐怖感にかられてしまった人もいるほどです。
データを改ざんして嘘を書く人も珍しくありません。Google アナリティクスや ASP 管理画面のキャプチャなんていくらでも編集できますから。そういう人は、やがて虚しくなってブログをやめてしまいます。

運営報告しなければ、毎日記事を書かなければ、PV は絶対に上げなければ、という縛りが多いほど、どんどんブログがつまらなくなるかもしれません。
(2)仲間だと思っていた人が離れていく
メリットであげた仲間意識を持ってくれる人のなかには、安心感を求めている人もいます。
まわりは素晴らしい実績を報告しているのに自分はそれに到底及ばないとき、同じような状況のブログを見ると安心するのです。自分より数字の低いブログを見つけて、より安堵しているかもしれません。
こういうのも、前述の「PV にとらわれてしまった人」でしょうね。とにかく PV 数とそれに伴う収益があれば “偉い” “すごい” と思っています。
そのため、仲間だと思っていた人が急激に自分より伸びると焦りが生じます。今までは相対的に自分を高くしていたので、相対的に低くなることに脅威を感じてしまうのです。
ここでそのままスッと離れてしまう人もいれば、何かと理由をつけてわけの分からない攻撃をしてくるケースもあります。
(3)嫉妬による嫌がらせが出てくる
今まで仲間として付き合ってきたのであれば、面と向かって直接攻撃されることは少ないでしょう。
もっと陰湿に、自分がやっていると気づかれないように SNS でわざわざ別アカウントを作って中傷したり、スパムコメントを送りつけてきます。ネガティブ SEO(検索順位を下げる施策)を仕掛けてくる人もいるかもしれません。
とにかく相手を落とすことに全集中しますから、そういう人はもはやブロガーと言えませんし、本人も何のためにブログ書いているのかわからなくなっていると思います。
現実世界でまわりにもそんな人がいるかと思いますが、反撃するとさらに攻撃性を増すので手のつけようがありません。たぶん、完全無視が一番だと思います。
(4)Google AdSense 広告の配信が停止される
報告記事が原因で Google AdSense が停止してしまった、という事例をたまに見かけます。
アドセンスの規約にはこのように明記されています。
お客様は、当社の事前の書面による承諾なくGoogle機密情報を開示しないことに合意するものとします。「Google機密情報」には、(a) 本サービスに関連する一切のGoogleのソフトウェア、技術及び文書;(b) 本サービスとの関係において広告媒体の実績に関連したクリックスルー率その他の統計;(c) 本サービスにおける非公開のベータ版機能または体験版機能の存在、それに関する情報またはその規約;並びに(d) Googleにより提供されるその他の情報であって、機密であると指定されるか、それが提示される状況において通常機密とみなされるものが含まれます。Google機密情報には、お客様による本サービスの利用より前にお客様にとって既知であった情報、お客様の責によらず公知となった情報、お客様が独自に開発した情報、または第三者によりお客様に適法に与えられた情報は、含まれないものとします。本第11条にかかわらず、お客様は、自らによる本サービスの利用によりもたらされたGoogleによる支払総額を正確に開示することができます。
Google AdSense 利用規約
公開が認められているのは「Google から実際に支払われた総額」だけであり、CTR などの数字は公開できません。報酬額と共に PV を載せていればある程度計算できてしまいますから、これが引っかかるケースもあるようです。
報告記事を書けば自動的に広告が停止されるわけではないので、Google への通報が原因となっていることが多いのかもしれません。
まとめ
以上、運営報告記事を書くメリット・デメリットの一例をご紹介してきました。これから運営報告を始めようか迷っているなら、参考になれば幸いです。
運営報告をきっかけに note などでノウハウを売る方もいらっしゃいますが、実績・数字をどのように使っていくかはその人次第ですね。
PV が増えたことを喜んでくれる人もいればなぜか怒る人もいますし、離れていったと思えば新しい出会いも訪れるものです。
ブログは楽しんで続けるのが一番ですから、わざわざストレスを抱える必要はないと思いますよ。
それでは、また。